吉浜のあわび漁

あわび漁の勝負は漁期前から始まっています。
10月の半ばから初回の開口日の漁獲時間開始までは「かがみどめ」といって漁の時に海中を覗くのに使う箱型の漁具の使用が禁止になります。
さらにその前までは「浜見」と呼ばれ、漁師はあわびの居所を探す事が許されています。

あわび漁に使える道具は「カギ」と呼ばれる先端に7cm程の鉤型の漁具がついた長い棒状の漁具のみ。
それを使い、深いところでは水深10m程のところまでも狙うことができます。（もちろん、そこが見通せる視力があれば...ですが）

漁の出来る場所にも専属・入会と言われる制限があります。
専属とは吉浜内湾の漁獲制限のある場所。
入会とは隣接する越喜来地域との共同の漁獲制限のある場所を指します。

資源保護の観点から、殻のサイズが9cm以下の物は漁獲出来ず、漁獲量にも制限があります。違反があった場合には厳しいペナルティが課され、重い場合にはしばらく出漁が禁止されます。

昨今話題になる磯焼けは、海中の海藻が極端に減り、いわば砂漠化している状態。
その影響で、あわびの餌がなく、やせと呼ばれる、殻サイズの割に、中身が小さいあわびも多く見られます。そんな中でも、漁師のみなさんは大ぶりで肉厚な物を漁獲しています。

吉浜鮑（きっぴんあわび）について

明治時代、吉浜出身で三陸の漁業発展に尽力した実業家の水上助三郎がキッピンアワビの製法を確立し広げました。あわびの産地である吉浜を音読みした「キッピン」と、中国で縁起のいいとされる吉をかけて「吉品鮑」としたといわれています。

小ぶりながらも肉厚なので良質な乾鮑が加工出来ることから震災前は、吉浜漁協の加工場で地域の人達で乾鮑を製造していました。
しかし高齢化と人口の減少、手間と時間がかかる作業で後継者もいない状況の為、震災後以降は乾鮑の加工は途絶えてしまいました。欠畑商店でもかつては乾鮑を製造していましたが現在は製造しておりません。

キッピンブランド

吉浜の欠畑商店は、キッピンブランドを末長く守って行きたいという思いから、四代目である現社長が数年かけて「吉浜（キッピン）」という商標を取得しました。欠畑商店は長い歴史の中で影に隠れてしまっているキッピンブランドを広く世に発信していきたいと考えています。