about us欠畑商店について

吉浜から全国の食卓へ

縁起よく、
「吉」を冠した、 吉浜。

吉浜のこと

欠畑商店は、岩手県大船渡市三陸町吉浜にあります。三陸海岸ならではの風景を生み出す岩手県宮古から宮城県石巻まで続く、くねくねと入り組んだリアス式海岸のなかのひとつが吉浜湾。江戸時代から、海外へ輸出されてきた「吉浜(きっぴん)あわび」の名産地としても知られています。

吉浜湾は太平洋に向かって東に開けた、外洋が入り込む形。外洋の荒い波に接した吉浜湾は海が波でかき混ぜられることで、常に新しく冷たい海水と栄養素がめぐります。さらに、山から注ぎ込む吉浜川は森から流れ下る栄養素をたっぷり海へ運び、湾内では豊かな生態系が育まれます。そこで水揚げされる豊富な魚種はまた、そこに暮らす人々の営みにも潤いと喜びを生みます。

かつて「葦浜」と呼ばれていたこの地域。「あし=悪し」ではなく「よし=吉」と改名したという逸話も残るこの地には、吉浜をこよなく愛し、誇りに生きた先人の想いが感じられます。

きらめく吉浜の良さを、広めたい。
これが、私たち欠畑商店の旗印です。

自ら売り歩いた
行商にはじまり
今では全国へ

欠畑商店のこと

欠畑商店の始まりは、明治時代。漁師でもあった初代の欠畑伝之助が、獲れた海産物を自らの手で売り歩いた「行商」がルーツです。

1960年代、三代目である欠畑伝七の頃には、海産物を仕入れて釜石市に売りに行くのがメインに。朝4時に出発して、片道3時間かけて釜石へ向かいました。当時の釜石は製鉄業が盛んで、約9万人が暮らす大きな街。ウニやワカメの他、海苔、昆布など様々な海産物を各商店に卸していました。個人のお客様への販売は少なかったものの、「この味がいい」と店にかかってくる電話が増えました。製鉄関係の転勤族の多かった釜石。他の地域へ移った後も愛用するファンが増えたことで、発送先も全国へ広がっていきました。

現代表の欠畑豊が四代目を引き継いでからは、有限会社欠畑商店として会社を設立。時代と共に変わりゆく流通やニーズに合わせる挑戦を続けて、取引先も取扱量も拡げてきました。

おかげさまで、これまでに通販で商品を送り出した先は、約6,000件。長いお客様では30年近く贔屓に頂いている方もいるほど、欠畑商店の商品は愛されてきました。それを支えているのは、海の恵みに真摯に向き合う姿勢。古くからの浜の仕事を引き継ぎ、家族を中心とした丁寧な加工作業は今も変わりません。2015年からは五代目を目指す欠畑直之も加わり、吉浜をはじめ三陸で採れる海の幸を全国へ届けています。

ニーズに合わせた
商品展開と安定供給

をつなぐ仕事

欠畑商店は、加工も行う卸売業。
一般的に「卸売」というのは、製造業から商品を仕入れたり、市場から食材を買い付けたりしたものを、小売業者に販売する業態のこと。欠畑商店では、すでに製品になっているものを買い付けることもありますが、素材または半製品を仕入れて、自分たちで加工した商品に力を入れています。

卸売業にとって大切なことは「お客様がどのような商品を求めているかを知り、それに応えること」。そのためには、まず仕入れる素材の見極めが欠かせません。吉浜をはじめ、三陸各地の海の様子をよく観察し、漁業者や同業者とのつながりも活かして、季節ごとによりよい素材を仕入れています。

また、安定した供給も欠かせません。2011年3月11日の東日本大震災では、岩手県の各漁港が被害を受けました。そのような状況でも欠畑商店が、すぐに営業を再開できたのは、通年販売のための在庫が充分にあったことに加え、商品確保に力を貸してくれた同業者がいたから。

さらに、吉浜は「奇跡の集落」と呼ばれたように津波での被害が極めて少なく、漁業の再開が岩手県内で最も早かった事も流通を支えました。それは、先人が明治や昭和の大津波から学び、高台への住居移転を進めてきた成果でもあります。2011年の秋には、吉浜湾では、わかめやほたての養殖を再スタート。翌年3月にはわかめを出荷できたことで、これまでのご縁を維持することができました。

欠畑商店がつなぐのは、海と人。
海の恵みに感謝しながら、海と共に暮らす人、そして味わって楽しむ人を支えていきます。

吉浜を想い続けるチカラ

専務取締役 欠畑直之

欠畑商店があるのは、岩手県大船渡市三陸町吉浜。
前浜の吉浜をはじめ、主に岩手沿岸で獲れた海産物を仕入れ、加工を行い出荷しています。同じ岩手でも、浜によって素材の特徴が異なり、それぞれに良さがあります。

吉浜もそうです。山から注ぐ川、外海がもたらす栄養と冷たい水の影響もあって、天然ものも養殖ものも、ここで育つ海産物は色・形・身の締まりなど、とても育ちが良いと自負しています。わたしたちは「吉浜産」と自信を持ってお届けできる商品をもっと増やしていきたい、と思っています。

水産業を取り巻く状況は厳しく、漁業者も漁獲量も減ってきている中、それでも吉浜にこだわるのは、やはり自分の育ったツールということと、家族とここで海を見つめていたいとの思いからです。

私は中学卒業後から24歳まで、吉浜を出て盛岡で暮らしていました。盛岡の市場に勤務していた頃は、海産物の営業販売を担当していましたが、水産業のことを改めて知っていく中で改めて気付いたのは、吉浜ならではの良さ。それを一言で表すのは難しいですが、この地に受け継がれてきた浜の暮らしや仕事、その歴史が魅力なのかなと思っています。

代々がつないできた仕事もそのひとつ。
欠畑商店は家族と地元のスタッフのみなさんと共に、事業を営んでいます。私自身にも結婚して家族が出来て、子ども達に海の偉大さを伝えていきたいという想いが芽生え、背中を押してくれます。

吉浜を想い続け、ここで暮らす生活を選び続けてきた先人の知恵と受け継いだ文化こそがわたしたちの誇り。
欠畑商店は三陸、岩手、吉浜の魅力をもっともっと広められるように、これからも挑戦していきます。